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オークションで注目の“あの”ワイン コレクション・ドゥ・ドクター・バロレ (Collection du Dr. Barolet)

  オークションで注目の“あの”ワイン  コレクション・ドゥ・ドクター・バロレ (Collection du Dr. Barolet)  過去10年間の間にいただいたワインの個別銘柄に関するお問い合わせの中で、特に多いのがこのワインに関する質問でした。今ではオークションの花形銘柄として世界中のコレクターの間で話題になるこのワインですが、意外にもその歴史や詳細については殆ど知られていません。特に日本では事実と異なるかなりいい加減なエピソードが実しやかに語られたりしていて、本当のところどうなんですか? というような質問も結構ありました(笑)。元々特殊な手段で流通したワインですし、欧米で出版されているワイン書などを探しても、その情報は皆無、または箇条書き程度にしか書かれていませんから、このワインに関する詳しい知識を持つ人が殆どいないというのも仕方のないことかも知れません。そこで今回はこのバロレワインの歴史、Collection du Dr. Baroletというブランドの由来などについて出来るだけ詳細をお伝えしたいと思います。尚、今回の記事を書くにあたり、このワインの名付け親のひとりであり、私の友人でもあるマイケル・ブロードベント氏からは1969年当時の貴重な資料を提供していただき、また詳細に関する部分では、丁寧に電話で補足していただきましたことを心よりお礼申し上げます。 ドクター・アルバート・バロレ(Dr. Albert Barolet) は1898年フランスのボーヌに生まれ、青年時代は医学の道に進み医師としての経験を積んでいました。若い頃よりワインに特別な関心を持ち、彼のワイン知識や鑑定能力は彼が医師をしていた頃から定評がありました。バロレ家のワインビジネスは父 アーサー・バロレ(Arthur Barolet) によって20世紀始め頃に創業されましたが、アルバートが医師としてのキャリアを棄てワインビジネスに加わった後は、更にその非凡な能力を生かし、独特のスタイルでビジネスを展開することになります。エキセントリックな人物(変人?)として知られ、1969年に71歳で死去するまで生涯独身、子供もいませんでした。 個々のブドウ農家から厳選したワインを直接樽で買い付け、ドクターの指示の下、Elevage、ボトル詰め、セラー熟成されたワインは、メーリングリストの顧客に売られました。バロレワインの顧客の中心は、ベルギー、オランダ、ドイツ、スイスなどの個人顧客で、その多くは医師や弁護士など、医師時代のコネを使って独自に開拓した知的専門職の人たちでした。メーリングリストにはかなりの数の個人顧客が登録されていましたが、その全てがドクターの味覚や彼が作るワインの品質に大きな信頼を寄せており、すべてをドクターに一任していたようです。独自のマーケティング方法で流通したワインは、当時から「知る人ぞ知る銘醸ワイン」としてフランスやヨーロッパの一部では高い評価を受けていましたが、その価値がより多くの人に知られるようになったのは、ドクターが亡くなった後のことでした。 ドクター・バロレの死後、妻子のいなかった彼の遺産は全て2人の姉によって相続されましたが、共に高齢の姉たちはセラーに残された膨大な数のワインを全て売却することを望みました。1969年初秋、当時Harvey’s of Bristol でワイン・ディレクターをしていた ハリー・ワフ(Harry Waugh = 世界的に活躍するワインコンサルタント、長年シャトー・ラトゥール/Chateau Latourのディレクターだったことで有名)は、地元のブローカーから相談を受け、セラーに残された約27,000本のワイン全ての買取り先を探すと同時に、それらのワインをオークションで売ることは出来ないかと考えました。そこでクリスティーズ・ロンドンのマイケル・ブロードベント(Michael Broadbent MW = マスター・オブ・ワイン、世界的に著名なワイン・ライター)に連絡を取り、ワフとブロードベントは残されたワインをオークションに出品することを検討しました。 ワイン自体のクォリティーの高さという点では、市場のニーズを獲得出来ることに強い確信を持ったワフとブロードベントでしたが、そこにはいくつかの問題点もありました。第一に、セラーに残された膨大な数のワインには、搬入当時から全く手付かずの状態で横たわっていたものとそうでないものがあり、両者の間には品質面でのばらつきがありました。また、すべてのワインをオークションに出品することは不可能な為、オークション出品用のワインを選抜する必要がありました。第二に、バロレワインは当時、フランスを含むヨーロッパの一部を除いては殆ど知られておらず、特にイギリスでは全く無名のブランドだったのです。更にこのセラーに横たわるワインは事実上「在庫商品」であり、それをそのまま売っても殆ど利益が見込めないだろうとの見解からも、コレクターたちの関心を惹きつける何らかの仕掛けが必要となりました。   セラーに残されたバロレワインは全て、スイスのアンリ・デ・ヴィラモン社(Henri de Villamont = サヴィニー・レ・ボーヌを拠点にするブルゴーニュのネゴシアン)が買い取る方向で話が進み、同社同意の下、その中のベストな状態のものはオークションで売られることが決まりました。膨大な数のワインの中から約2000本のワインが選ばれ、コンセプト作りの話し合いが行われた結果、「極めて優れたテースト、富、知識を持つ非凡な男が残した非凡な遺産」として、バロレワインの特異性と希少性を全面的にアピールすることで「プライヴェート・コレクション」のイメージを打ち出す戦略が取られることになりました。この約2000本のワインはCollection du Dr. … 続きを読む

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ワインオークションで注目の “あの”ワイン

一流と呼ばれる全てのものにストーリーがあるように、ワインにも数多くの逸話があります。ここでは最近オークション市場で注目のあのワインについて、その歴史や背景などの基本情報から、一般的にあまり知られていないコアな部分までを様々な角度から語ります。

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